二世帯のバリアフリー対策
認知症の原因は日常の刺激が奪われることから始まるとも言われています。そこで住宅のなかにも、「適度に段差があったほうがよい」「階段を毎日上がり下がりするのが刺激になっていい」という説も聞きますが、それは正しいとも正しくないとも言えません。
大切なのは「生活のうえでの刺激」と「行動を妨げる障害」を取り違えないことです。2世帯住宅の設計、とりわけ親世帯のスペースの設計は、高齢者の最低限の行動を妨げないような、バリアフリーの視点で各部を考えていく必要があります。
2階が親世帯のケース
二世帯住宅では親世帯が1階をつかうのが一般的ですが、風通しや日当りなどの理由から2階を望まれる場合、バリアフリーへの配慮は一層慎重に検討したほうが良いでしょう。転倒の危険が高い階段の設計は慎重にしてください。
階段には必ず手すりを設ける。また、足元の照明器具も必須です。勾配はゆるやかに、蹴上げは17.5cm〜18.5cm、踏面は24cmぐらいにします。蹴込みはあまり深くせずノンストップを設けましょう。トイレは寝室と直結しているのがベストです。トイレの幅を1〜1.2mにしておくと、壁や床の掃除もしやすくなります。
介護のしやすい設計
親世帯に介護が必要になったら、どちらかの世帯側に行き一緒に寝るなどの工夫が考えられます。また、排泄補助や入浴補助、飲食補助がしやすいように、介護する部屋の近くに水回りを配置しておくと便利です。
最近はリビングの一角に多目的用の和室を設けおいて、介護が必要になったら利用をするというケースも見られるようになりました。