分離型のメリット
「完全分離型」の二世帯住宅のメリットは両世帯が部屋を自由に使えるところです。親世帯と子世帯が出会う場は門廻りかアプローチぐらいなので、トラブルなどは生じにくくなります。たとえば、子世帯はトイレに子供の足の踏み台を置いたり、妻の好きなアロマの香りを添えたりしても何の気兼ねもありません。親世帯は好きなカレンダーを張るなど、自分の好みでできます。ささいなことですが、実に大きいメリットといえます。
日常的にある程度の距離を保てるので、精神が安定し気持ちにもゆとりが生まれます。そこから、おたがいに「たまにはいいよね」という気持ちで頼みごとをするときなど気持ちがラクになります。親世帯も子世帯もそれぞれのペースに合わせて暮らすことができます。
親世帯はほとんどが1階
では、完全分離型の二世帯住宅はどのように設計すればよいのでしょうか。通常は親世帯を1階に設けることが多いです。ただし、木造住宅では音の問題で騒がしい子世帯を下の階にするほうが合理的なケースもあります。
その一方、親世帯の2階への移動を不安視して、結果的に1階に戻すケースもあるようです。なお、鉄筋コンクリート造や鉄骨造で3階、4階建てにする場合は、エレベーターを設置すると親世帯も暮らしやすくなります。
状況の変化にも対応
また、介護が必要な家庭でも分離型のほうが気持ちは切り替えやすいでしょう。寝たきりなどで子世帯の妻や夫が親世帯に一時的に泊まり込みで対応するケースが増えた場合でも、気分転換や休息のために離れられる分離型は助かるとの声をよく聞きます。
また、将来的にも完全分離型は一方を賃貸に転用しやすいという利点があります。「利益を生む」という観点で二世帯住宅を考えるのもよいかもしれません。