どのような共有空間にするか
二世帯住宅の多くは各世帯で共有する空間があります。特に、延床面積が狭いケースは共有空間をつくることで各世帯専用の居住スペースの充実を図ります。その際、なるべく滞在時間の短い「玄関→浴室→トイレ」の順に共有を考えていくとよいでしょう。それでもスペースが足りなければ、キッチン、ダイニングと共有空間を増やしていかざるを得ません。
ですが、食事の好みも要する時間も違う二世帯が、1つのキッチンを使うのは少し難しいでしょう。どこまでを共有空間にするかは、入念に検討する必要があります。使用頻度が低く、さほどプライバシーに影響しない趣味室やゲストルームなども共有空間としておすすめです。
例えば共通の趣味や持ち物で、オートバイ自転車などのガレージ、映画用のシアタールーム、園芸や野菜作りなどで庭を共有する、など多岐にわたります。趣味というのは興味の対象が変わることも珍しくありません。別の用途にも使えるように配置や動線を考慮しておくとよいでしょう。なお、ゲストルームなどの共有空間の使用に伴う準備・清掃は使った世帯が行うのが基本です。また、電気・水道・ガスなどの料金は事前にどのように分けるのかを決めておく必要があります。
屋上を共有する場合
都市部では屋上を洗濯物干し場や家庭菜園などに利用するケースが増えています。屋上を共有で使う場合は、そこまでのアプローチ計画が大事になります。
どちらかの世帯の居住スペースを通過しなければ屋上に上がれない設計にしてしまうと、一方の世帯はもう一方の世帯を通過するときに気が引けてしまいます。断ってから屋上にあがるのが面倒という気持ちになれば、自然と屋上から足が退き、共有空間を直結している世帯のみが使用するようになってしまいます。プライバシーを邪魔しないように、屋上に行ける動線を確保することが重要です。